不労所得の作り方|元手か手間かで選ぶ手段と、月3万円に必要な元本

不労所得と調べると、元手ゼロで月◯万円という景気のいい話が目につき、半信半疑になっている方も多いのではないでしょうか。実際には、完全に働かず元手もゼロで入り続ける収入はほとんどなく、最初に元手か手間のどちらかを必ず使うことになります。この前提を踏まえて、どんな手段があり、どの順番で、いくらの元手から始められるのかを見ていきましょう。

目次

不労所得とは何か

不労所得には、そもそも何を指す言葉なのかという論点と、本当に完全に働かず・元手ゼロで作れるのかという論点があります。この2つを起点に、記事全体の土台となる考え方を押さえておきましょう。

自宅のデスクで目標の月収と必要な元本を書き出して考える日本人男性

不労所得は資産の保有や権利から継続的に入る収入

配当・利子・分配金・賃料のように、資産を持っている、あるいは権利を持っている間ずっと入ってくる収入が不労所得です。売却しなくても発生し、保有を続ける限り繰り返し受け取れる点が特徴になります。

完全に働かない不労所得はほぼない(最初に元手か手間を使う)

元手ゼロで始めようとするほど、その分だけ手間と時間を先に払うことになります。逆に、元手を多く使うほど継続の手間は減っていきます。「完全に楽をして」不労所得を作ることは基本的に成立せず、元手と手間のどちらかを先に投じるトレードオフがある、という前提から考え始めるのが現実的です。

不労所得の作り方は労働型・権利型・資産型の3タイプ

不労所得の作り方として世間で紹介されているものは、大きく労働型・権利型・資産型の3つに分けられます。それぞれ、初期と継続にかかる手間、再現性の高さがまったく違います。

不労所得の3タイプ(労働型・権利型・資産型)を必要な元手・初期の手間・継続の手間・再現性で比較した図解

労働型(ブログ・動画・せどり)は事業であって不労ではない

ブログ・YouTube・せどり・アフィリエイトなどは、副業メディアで「不労所得」として紹介されることが多い手段です。ただし、記事の執筆や動画の編集、商品の仕入れと発送といった作業には初期も継続も大きな手間がかかり、実態としては事業を運営しているのに近い状態になります。稼働を止めれば収入も止まりやすく、資産の保有から生まれる収入とは性格が異なります。

権利型(印税・ロイヤリティ)は入口の労力が大きい

印税やロイヤリティ、広告収入などの権利型は、いったん作品や仕組みが完成すれば、その後は手離れよく収入が入り続ける点で不労所得に近い性格を持ちます。ただし、そこに至るまでの入口には大きな労力や才能が必要で、誰にでも再現できる方法とは言えません。

資産型(配当・利子・分配金・賃料)は元手を働かせる

資産型は、元手となる資金を株式・債券・投資信託・不動産などの資産に置き、配当・利子・分配金・賃料として継続的に受け取る作り方です。労働型のように稼働を止めると収入が止まるということがなく、継続の手間がもっとも小さく、再現性の高い作り方といえます。

ただし、資産型のなかでも値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う部分は、いつ売買するかという判断が必要で、その判断の手間は残ります。インカムとキャピタルの違いや、資産別の利回りと100万円で年いくら受け取れるかといった実額の比較は、別の記事で扱っています。この記事では、元手を働かせて継続収入を得る資産型に重心を置いて見ていきます。

資産型で不労所得を生む手段と、必要な元手・手間・リスク

資産型のなかでも、手段によって必要な元手・継続の手間・値動きの大きさは大きく異なります。まずは横断で比較してみましょう。

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手段最低元手の目安継続の手間値動きの大きさ流動性
預貯金1円〜ほぼなし極小高い
個人向け国債1万円〜ほぼなし極小中(発行から1年後に中途換金可)
株式の配当1株〜(単元100株)中(銘柄選定・管理)大高い
投資信託100円〜小中〜大高い(毎営業日解約可)
J-REIT10万円前後〜小中〜大高い(証券取引所で売買)
現物不動産の賃料数百万〜数千万円大(入居者・修繕・管理)中(借入で増幅)低い(売却に数か月〜)

株式・投資信託・J-REIT・現物不動産(やそれに投資するファンド)は、いずれも価格が変動する資産です。収益となる配当・分配金・賃料も一定ではなく、変動したり減ったりする可能性があります。これに対して預貯金・個人向け国債は元本の価格が変動しないという違いがあり、この2つとそれ以外では性格が大きく異なります。

少額・低リスクから始める預貯金と個人向け国債

預貯金の利息と個人向け国債の利子は、元手が小さくても始められ、継続の手間もほぼかかりません。個人向け国債は額面で償還されるため、元本割れが起きない仕組みになっています。その代わり利回りは低く、物価が上がる局面では実質的な購買力が目減りしうるという弱点があります。

証券口座で少額から持てる株式の配当・投資信託・J-REIT

もう少し利回りを取りたい場合は、株式の配当や投資信託・J-REITの分配金が選択肢になります。証券口座があれば、投資信託は100円程度から、J-REITは10万円前後から持て、預貯金よりも高い収益を狙えます。ただし価格が変動する資産であるため、元本割れが起きる可能性があり、減配や分配金カットで収益そのものが減ることもあります。

現物不動産は元手も手間も大きい

現物不動産の賃料は代表的な不労所得の1つですが、1物件あたり数百万円から数千万円という大きな元手が必要です。入居者対応・修繕・管理といった継続の手間もかかり、売却には数か月以上を要することが多く、まとまった資金をすぐに現金化しづらいという流動性の低さも伴います。

こうした現物ならではの重さを避け、少額・分散で不動産のインカムを持つ選択肢として、ファンドを通じて投資する器もあります。従来は機関投資家向けだった大規模な開発・住宅用地といった領域にも、個人が投資できる形が近年出てきています。海外不動産に投資するファンドの器の違いと選び方は、別の記事で詳しく整理しています。

月3万円・5万円の不労所得に必要な元本の目安

「月◯万円」という目標を立てたとき、実際にどれくらいの元本が必要になるのかを見てみましょう。

必要元本は、目標年額を税引後利回りで割ると求められます。

必要元本 = 目標年額 ÷ 税引後利回り

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目標(税引後・毎月)年額税引後2%税引後3%税引後4%
1万円12万円600万円400万円300万円
3万円36万円1,800万円1,200万円900万円
5万円60万円3,000万円2,000万円1,500万円
10万円120万円6,000万円4,000万円3,000万円

税引後2〜4%という水準がどのくらいの手段に相当するかというと、10年国債(名目2.894%)は税引後で約2.31%とおおむね2%の枠に、東証プライムの配当(加重平均1.94%)は税引後で約1.55%と2%の枠をやや下回る水準に、J-REIT(名目4.97%)は税引後で約3.96%とおおむね4%の枠に位置します。この数字は2026年7〜8月時点の利回り水準にもとづく概算で、物価上昇・手数料・価格変動は考慮していません。

同じ月3万円でも、前提の利回りで必要元本は倍近く変わる

例えば月3万円(年36万円)を目標にする場合、税引後利回り2%であれば約1,800万円、税引後4%であれば約900万円が必要元本の目安になります。同じ月3万円でも、どの利回りを前提にするかで必要な元本は倍近く変わることが分かります。

利回りが高い手段ほど値動きのリスクも大きい

早見表のうえでは、利回りが高いほど必要元本を小さく見積もれます。ただし、株式やJ-REIT、現物不動産といった利回りの高い手段は、その分だけ価格変動や元本割れのリスクも大きくなります。必要元本を小さく済ませようとして高い利回りを前提に置くことは、そのぶん元本割れの可能性を引き受けることと表裏一体である、という関係を押さえておく必要があります。

不労所得にかかる税金と手取り

不労所得には税金がかかります。配当・利子・分配金・譲渡益には原則として20.315%の税金がかかり、内訳は所得税15%・復興特別所得税0.315%(2037年12月31日までの時限措置)・住民税5%です。手取りの目安は、税引前の金額に0.79685を掛けた数値になります。

源泉徴収で完結し確定申告が要らないもの

預貯金の利子は源泉分離課税で20.315%が源泉徴収されます。また、証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で受け取る株式の配当や投資信託・J-REITの分配金・譲渡益も、申告分離課税20.315%が源泉徴収で完結し、確定申告をしなくてよいケースが多くなります。手続きの手間という点では、資産型のなかでも手離れが良い部類です。

なお投資信託の分配金には課税されるものとされないものがあり、分配金にかかる税金の詳細は別の記事で整理しています。

不動産の賃料は総合課税で確定申告が要る

これに対して、現物不動産の賃料は不動産所得として総合課税の対象になり、給与などの他の所得と合算して累進課税されます。確定申告が必要になり、収入の管理や経費の計算といった手間も、資産型のなかでは重いほうです。

NISA・iDeCoの非課税枠で手取りを増やす

NISAの対象商品(上場株式・株式投資信託・ETF・J-REITなど)であれば、配当・分配金・譲渡益が非課税になり、税引前に近い金額がそのまま手取りになります。一方、預貯金・個人向け国債・現物不動産はNISAの対象外です。

iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になり、運用益も非課税です。ただし原則として60歳まで引き出せないという制約があり、老後資金という目的に絞って使う制度になります。

不労所得づくりが向いている人・向かない人

不労所得づくりは誰にでも同じように向いているわけではありません。両方の側面を確認しておきましょう。

向いている人

  • すぐには使わない予定の余裕資金がある人
  • 長い時間軸で、値動きや流動性の制約を受け入れられる人
  • 円・預金に資産が偏っていて、分散先を探している人
  • 元手が小さくても、初期の手間や時間を投じられる人

向かない人

  • 生活防衛資金しか持っておらず、余裕資金がまだ作れていない人
  • 元本割れを1円も許容できない人
  • 数年以内に使う予定の資金しか持っていない人
  • 今すぐ生活費を大きく補いたい人

不労所得は元手か手間のどちらかを先に投じる必要があり、即効性は高くありません。向かない側に当てはまる場合は、無理に不労所得を狙うのではなく、まず余裕資金を作ることや、目的・期間・リスクで自分に合う資産運用の手段を比較するところから始めるのが現実的です。

不労所得は何から始めるか

ここまでの内容を踏まえると、始める順番は次のように整理できます。まず税優遇の効く非課税の器を使い、次に円・預金への偏りを直し、その先でドル建て資産や実物資産による分散を検討する、という流れです。手間が小さく土台になるものから積み上げていくのが基本になります。

不労所得を始める順番を示した3ステップの図解(非課税の器→円偏重の是正→ドル建て・実物資産への分散)

まずNISA・iDeCoの非課税の器を使う

最初の一歩は、手間が小さく税優遇の効くNISAとiDeCoです。新NISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で、合わせて年間最大360万円まで投資できます。生涯の非課税保有限度額は総枠1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円が内数)で、非課税で保有できる期間に期限はありません。

iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になり、所得税・住民税の負担が軽くなります。まずはこの土台の部分を、非課税で作っていくのが出発点です。

次に円と預金への偏りを直す

日本の家計金融資産は2,386兆円あり、そのうち現金・預金が1,126兆円と全体の47.2%を占めています(2026年3月末速報)。国際比較の統計でも、現金・預金の比率は日本が51.0%であるのに対し、米国は11.5%、ユーロエリアは31.8%にとどまり、株式などの比率は日本12.2%に対し米国41.5%と、日本の円・預金への偏りは際立っています。こうした円偏重の資産を通貨で分散する考え方と手順は、別途くわしく整理しています。

物価上昇率は2025年平均の総合CPIで前年比+3.2%、普通預金の名目金利は2026年7月時点で0.255%です。この差から実質金利を計算すると約マイナス2.9%となり、預金に置いたままの資産は1年でおよそ2.9%分、購買力が目減りしていく計算になります。実質金利で見る預金の目減りとインフレ対策の投資もあわせて参考にしてください。

不労所得づくりは「増やす」ことだけでなく、こうした置き場所の偏りを直す作業でもあります。

その先はドル建て・実物資産へ分散する

非課税枠を使い、円・預金への偏りを直した先には、ドル建て資産や実物資産による分散という選択肢があります。実物資産についても、ファンドという形なら少額・分散で持てる商品が個人向けにも広がってきています。

こうした選択肢が自分の資産状況や目的に合うかどうかは、記事の一般論だけで判断しきれるものではありません。最新の条件や、自分のケースに当てはめた場合の考え方は、無料セミナーで直接確認しておくと安心です。

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不労所得の作り方に関するFAQ

配当だけで生活する、いわゆるFIREは実現できますか?

不可能ではありませんが、必要な元本の規模は大きくなります。月10万円の不労所得を作るには、税引後利回り2%で6,000万円、4%でも3,000万円が目安です。生活費全体をまかなうにはさらに大きな元本が必要になり、高い利回りを前提にするほど値動きのリスクも大きくなるため、現実的な距離感を持って考える必要があります。

会社員でも不労所得を作れますか?勤務先の副業禁止規定に違反しませんか?

多くの企業が定める副業禁止規定は、労働の対価を得る兼業を対象にしていることが一般的で、株式や投資信託の保有・配当の受け取りといった資産運用は、通常この規定の対象に含まれません。ただし会社ごとに規定が異なるため、就業規則は確認しておくと安心です。公務員は国家公務員法などで投資が制限される場合があるため、別途注意が必要です。

不労所得はいくらから確定申告が必要ですか?

給与所得のある方は、給与以外の所得が年間20万円を超えると原則として確定申告が必要です。ただし特定口座(源泉徴収あり)で受け取る配当や分配金はこの20万円のルールに含めなくても申告不要にできることが多く、預貯金の利子も源泉徴収で完結します。不動産の賃料は総合課税のため、金額にかかわらず確定申告が必要です。

新NISAで受け取る配当や分配金は非課税になりますか?

はい。新NISAの対象商品である上場株式や株式投資信託、ETF、J-REITなどであれば、配当や分配金、譲渡益は非課税で受け取れます。一方、預貯金の利子や個人向け国債の利子、現物不動産の賃料はNISAの対象外で、通常どおり課税されます。

不労所得は英語で何と言いますか?

英語ではpassive incomeと呼ばれます。労働の対価として得る収入(active income)に対して、資産の保有や権利から継続的に得られる収入を指す点は、日本語の不労所得と同じ意味合いです。

まとめ

不労所得は、完全に働かず元手もゼロで作れるものではなく、最初に元手か手間のどちらかを使うことが前提になります。世間で紹介される手段のなかでも、継続の手間がもっとも小さいのは、配当・利子・分配金・賃料として元手を働かせる資産型です。

預貯金や個人向け国債は元手が小さく手間もかかりませんが利回りは低く、株式や投資信託、J-REITは少額から高めの利回りを狙える一方で値動きのリスクを伴います。現物不動産は元手も手間も大きく、その重さを避けたい場合はファンドという器で分散する選択肢もあります。

月◯万円という目標の必要元本は、目標年額を税引後利回りで割れば見積もれます。利回りが高いほど必要元本は小さくなりますが、そのぶん値動きのリスクも大きくなる関係は変わりません。

すぐに使う予定のない余裕資金がある人や、円・預金への偏りを分散したい人には、資産型の不労所得づくりが向いています。まずはNISA・iDeCoの非課税枠を使い、円・預金への偏りを直すところから始めてみてください。自分のケースに当てはめた考え方は、無料セミナーで確認しておくと安心です。

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